2019年8月23日号

中国と米国の貿易戦争が通貨戦争へとエスカレートした。8月5日、米財務省は中国を為替操作国に指定した。メディアはトランプ政権の為替操作国指定を批判するが、同時に中国経済も追い込まれていると指摘する。米国はFRBによる利下げなど金融政策で動く余地があるが、不動産分野で問題を抱える中国は、関税の脅威に対処するために金融緩和や財政出動を打ち出すのがむずかしく、通貨安で対応していると指摘する。

台湾の最大野党の国民党は、次期総統候補を選ぶ予備選で有力視されていた鴻海精密工業の郭台銘会長ではなく、高雄市長の韓国瑜氏を正式総統候補に選出。同氏が来年1月の総統選で与党・民進党の蔡英文現総統に挑戦することになった。韓氏は、郭氏よりも中国寄りの姿勢を鮮明にしており、こうした姿勢が独立指向を強める蔡総統との選挙戦でどのような影響を与えるか、また敗れた郭氏が無所属で立候補するとの噂もあり、総統選の行方は混沌としている。

韓国銀行が政策金利の引き下げを発表した。引き下げは3年ぶりで、引き下げ幅は0.25%。背景に、日本のハイテク製品の韓国向け輸出制限や中国経済の減速などに伴う韓国経済の先行き不安感があり、低迷する経済を浮揚させるため韓国銀行に利下げを求める圧力が高まっていた。また国会が補正予算を政争のために可決できないという財政対策の遅れも背景にあるとメディアは伝える。

北朝鮮関係では、次期米大統領選に立候補した民主党有力候補者の北朝鮮政策に関する調査結果をメディアが報じる。20人を超える立候補者の中から有力7人について世論調査での支持率のほぼ順位に従って見解を紹介している。いずれも外交的解決と同盟諸国との協調を唱え、金委員長との会談も辞さないとする候補者もみられた。直接会談の表明はトランプ氏に対抗する発言と思われるが、トランプ外交の上を行くと思われる新味のある政策表明はみられなかった。

東南アジアなどアジア・太平洋地域で、政策金利の引き下げに動く中銀が増加している。8月7日にタイ、インド、ニュージーランドの中央銀行が、次いで8日にはフィリピン中央銀行が政策金利の引き下げを決定。メディアは、世界の緩和サイクルが加速しそうだと論評する。共通の背景としてマイナス金利の採用など超金融緩和に動いていた米欧の金融当局が再び金融緩和に向かっていること、米中貿易戦争によるグローバルな景気低迷のため輸出依存度の高い経済圏で経済成長が鈍化していることなどが指摘されている。

インドは、中国における製造コスト上昇や米中貿易戦争の余波によって中国に代わり対米輸出を増やすという機会を活用できていないとメディアが指摘する。ベトナムなどの東南アジア諸国はそうした恩恵を全面的に享受しているが、インドが活用できない理由としてメディアはインフラの隘路を挙げる。